(1)リターンの源泉がリスクの源泉から独立している、(2)従来は銀行保険会社が占有していた投資対象、(3)私募・相対取引が主流となっている-当社はこうした性質を持つ運用戦略の開発を目指しています。(1)の性質は、投資の世界において一般的ではありませんが、当社ではこれをリスク・リターンの独立性と呼んでおり、これこそが魅力的なオルタナティブ投資の特徴である、と考えています。

伝統的な投資においては、リスクとリターンが同一の源泉を持つことが一般的です。例えば、社債の場合、発行企業がリスクリターン両方の源泉となります。しかし、一部の投資にはこれが当てはまりません。CAT債(Catastrophe Bond)のリターンは保険会社を源泉としますが、損失リスクはそれとは別の事象-例えばマイアミ・ハリケーンの発生-によりもたらされます。また売掛債権投資のリターンは、同債権を売却する債権者(商品販売元)がリターンの源泉である一方、損失リスクは債務者(商品購入者)に依存します。こうしたリスク・リターンの独立性が、伝統的な市場での投資に比べ高いリスク・プレミアムを生む可能性があります。

リスク・リターンの独立性は、CAT債の投資家が、地震などの災害リスクを取る事で通常得られる水準よりも遥かに大きなリスク・プレミアムを獲得できる可能性があることを意味します。また売掛債権の投資家も同様で、債務者の信用リスクへの対価として通常得られる水準を大きく上回るリスク・プレミアム獲得の可能性があります。このように高いリスク・プレミアムは、投資資金が、例えば成長地域において新規保険契約を獲得するといった様に、事業拡大の為に用いられることからもたらされます。しかしその一方、投資資金が被るリスクは、事業活動とは無関係な(例えば、債務者の信用リスクは債権者の信用リスクと直接関係ありません)、投資家はリスクとリターンを切り離して管理出来ることとなり、ポートフォリオのリスク・リターンについてより柔軟に最適化を図ることも可能です。

リスク・リターンの独立性は、伝統的な投資における、いわゆる「リスク曲線」を上回る機会を提供し、更に、投資家自身が精通したビジネス業界の狭い分野へ資金を集中投資することで、より高いリターンをあげる可能性も生まれます。

またリスク・リターンの独立性は、投資先の商品サービスに関連する追加的リターンを投資家にもたらす一方で、リターン面で妙味の少ない運用オペレーション上のリスクを最小化することにも繋がる可能性があります。こういった性質を上手く活用することで、魅力的なオルタナティブ投資が可能となるのです。